今回はこれまでの日常が一変した中での執筆となりました。新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年オリンピック・パラリンピックは延期され、今まで当然のように観戦してきた高校野球もなくなり、とても寂しく思います。
当社2020年6月期における経済環境は、上半期までは米中の関係悪化と各国の保護主義が問題となる中、わずかではありますが経済はゆるやかな回復基調を見せておりました。
ところが2019年12月に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスは、驚異のスピードで世界中に拡散しました。日本でも2020年4月には政府より緊急事態宣言が発令され、それによりいったん感染者は減少しましたが、6月中旬から東京都を中心に再び感染が拡大しており、本稿を執筆している現在、ウイルスは全国に猛威をふるっております。世界においても感染が終息する気配は見られず、世界経済並びに日本経済に与える影響は非常に大きいと思われ、実体経済から始まったこの経済変動は世界のGDPを大きく引き下げ、2008年のリーマンショックを超えるダメージがあるものと考えております。
そのような事業環境の下、2020年6月期における当社グループの業績は、売上高220億18百万円、営業利益24億84百万円、経常利益21億98百万円、親会社株主に帰属する当期純利益15億6百万円となり、売上高・利益とも過去最高値を達成することができました。
これは、当社グループの基本ビジネスモデルである東京都心でのワンルームマンションの開発・1棟販売(専有卸)が、景気変動期においても大きな価値下落を招かないこと、並びに利益率の確保と販売先を想定した用地購入及び早期に販売先と何らかの契約・協定を結ぶという当社グループの方針が大きく効果を現したものと考えております。
新型コロナウイルス感染拡大による今後の当社グループ業績への影響につきましては、①販売先である販売会社の最終顧客への売上不振②当社グループ役職員の感染③建設のアウトソーシング先であるゼネコン現場従業員等への感染④経済悪化による金融機関の不動産融資厳格化の4点を想定しておりますが、当社グループは今後予想される経済環境に備えるべく、昨年12月に20億円強の増資と今年3月に100%子会社である株式会社アーバネットリビングによる15億円の優先株式の発行を行いました。これにより、グループ全体の財務体質の強化の実現を図ることで、金融機関からの信用拡大に努めており、その他の課題にも的確に対応策を実施しております。
2021年6月期は、不動産開発事業において投資用ワンルームマンション等674戸(前期712戸)の販売を計画しております。販売戸数の減少は、新型コロナウイルス感染蔓延に関連した建設工期の長期化の可能性を鑑みたものであります。また、世界における新型コロナウイルスの感染拡大並びに国内外の経済環境の不透明さを鑑み、業績予想は保守的に見積もっております。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大による実体経済へのダメージ、またリーマンショックのような金融機関の信用収縮による金融経済のダメージについて、現在も調査・検討を継続し、対応策を講じることで、業績に与える影響が最小限になるよう努めてまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともより一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
株式会社アーバネットコーポレーション
代表取締役社長 服部 信治