AACポスターコンペ2008 審査結果発表

2008年5月12日、株式会社アーバネットコーポレーションにおいて、「AACポスターコンペ2008」の審査会を開催いたしました。募集開始から約1ヵ月という短い期間でしたが、全国から74点もの応募がありました。
審査は鈴木芳雄氏(ブルータス副編集長)、菊地敦己氏(bluemarkアートディレクター) 、服部信治(主催会社 代表取締役社長)により厳正に行われ、以下のように受賞作品が決定しました。
尚、受賞作品は最優秀賞1点、入選10点の予定でしたが、全審査員の同意により審査員特別賞1点が選ばれ、入選は9点となりました。

>>AAC2008・AACポスターコンペ2008合同表彰式・懇親会<<

最優秀賞受賞作品

最優秀賞
■ 佐野 夏記
静岡文化芸術大学
デザイン学部 生産造形学科
とても楽しんで制作できました。勢いにのって一気に作り上げたポスターです。きっと、それが良い結果に導いてくれたのだと思います。ありがとうございます。AACの企画理念に強く惹かれたことが、このコンペに応募した動機のひとつです。普段、芸術大学に通っていながら、芸術作品と触れあっていないことに気づきました。デザインの世界を学んでいる私にとって、芸術作品には憧れの念を抱いているところがあります。このポスターには、そんな憧れの気持ちと、魅力的な作品がたくさん集まる期待を込めました。キレイで、カッコよくて、顔をのめりこんで見たくなるような作品、待っています。
■ 菊地 敦己 / Bluemark アートディレクター
大賞作品は、応募作品の中では最も安定した作品で、実際的にポスターの機能を全うできるものだと思います。「AAC」の文字を立体作品に例えたイラストレーションと、スタンダードなタイポグラフィーによって構成されたデザインは、明解で清潔感があり好感がもてました。ただ全体のバランス感覚の良さの反面、既視感が拭えないのが残念です。これは応募作品全般に言える事ですが、ハッとするような新鮮なグラフィック表現が見当たらず、既成のイメージの中でのなんとなくまとめられた作品が多いのには問題を感じました。アグレッシブに自分の表現を模索してほしいと思います。
審査員特別賞
■ 早川 裕子
武蔵野美術大学
造形学部 視覚伝達デザイン学科
私は立体作品の制作についてほとんど知識がありませんでした。そこでポスターを作る上でのネタを探しに学内の木彫工房へ足を運んだのですが、その時目にしたまだ手つかずの素材である丸太、人によって削られ形を成し始めた像がとても興味深く感じられました。人がものを作り出すという行為、その素晴らしさを今一度思い出すきっかけをこのコンペは与えてくれたと思います。ありがとうございました。
■ 菊地 敦己 / Bluemark アートディレクター
唯一、私が個人的にシンパシーを感じた作品です。意図したものなのか偶然なのかは判別しかねますが、不思議とヌケのある画面構成に引かれました。惜しむらくは、文字やロゴがあまりにも粗末な扱いという点です。

入選作品 (応募順)

■ 大川原 亮
多摩美術大学
美術学部 グラフィックデザイン学科
選んで頂いて有り難うございます。凄く頭を使いました。発見、閃き程楽しいものはないですね。
■ 増田 啓之
武蔵野美術大学
造形学部 視覚伝達デザイン学科
素晴らしい賞をありがとうございます。今回、僕は平面らしい立体を表現をしたいと考え、子供の頃赤と青のただの絵が特殊なメガネをつけて見てみると、飛び出し驚いたことを思い出し、そのアナグリフの視覚的な錯覚を用いて立体をイメージさせる表現にしました。視覚と思考を使い、立体作品への創造力が湧く作品を制作しました。
■ 小川 雄太郎
多摩美術大学
美術学部 グラフィックデザイン学科
ありがとうございます。とても嬉しいです。大賞をとれなかったのは残念だけど、これを励みにより良いものができるよう制作を続けていきたいと思います。
■ 南雲 祐人
サレジオ高専
情報工学科
今回AACポスターコンペで入選できた事を大変嬉しく思います。私の学校にはデザイン科があるのですが、私は他学科に在席しています。しかし、デザイン科の人たちの制作風景などを見ているうちに、しだいにデザインというものに興味を持つようになり、今回初めてコンペと呼ばれるものに応募しました。その最初の応募で入選でき、とても驚いています。今後も頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
■ 土屋 寛恭
和歌山大学
システム工学部 デザイン情報学科
今回の受賞、本当にありがとうございます。立体・彫刻は影の存在があり、初めて表現できるものだと思います。「未知なる立体・彫刻の創造とは、未知なる影の創造でもある」そのことをポスターという、グラフィックデザインで広く伝えられたらと考えました。これからも日々努力していきたいと思います。ありがとうございました。
■ 中川 雅史
武蔵野美術大学
造形学部 基礎デザイン学科
この度は入選させて頂き、嬉しく思います。これからも頑張っていきたいです。
■ 中村 洋臣
千葉大学大学院
工学研究科 デザイン科学専攻
入選という賞をいただき、非常に嬉しく思います。ありがとうございます。ポスターを制作する時に考えたことは、多くの人が小学生の頃、夢中になって粘土遊びをしていたということです。その時の興奮、創る喜びを、もう一度思い出してほしい、という気持ちをポスターに表現しました。この入賞をきっかけに、更に作品制作に励んでいこうと思います。ありがとうございました。
■ 森 瑞恵
岡山県立大学
デザイン学部 造形デザイン学科
コンペのコンペ。
難しいテーマですが、難しいことが嫌いなので、日常や親しみやすさといったものを軸に考えました。結果生まれたのが紙の切り起こしによって二重の影が落ちる、ちょっとだけ不思議な世界です。日常の中のアートが生活のアクセントになることを願って。最後になりましたが、この作品を賞に選んで下さってありがとうございました。
■ 清水 貴栄
武蔵野美術大学
造形学部 基礎デザイン学科
以前から彫刻と建築に興味があったので、その二つが関係するこの企画での受賞にとてもうれしく思っています。しかし、自分に力が足りないことを再認識した機会でもあったので、これをバネにさらに上を目指し、積極的に制作していきたいと考えるようになりました。このようなきっかけを与えてくださった企画者の方々や審査員の方々に本当に感謝しています。有り難うございました、これからも頑張ります。
 
 
 

総評

■ 鈴木 芳雄 / ブルータス副編集長
いくつか意欲的な作品に出会えた。「彫刻・立体アートコンペ」とは違うスタディとして、「彫刻・立体アートコンペ」の「告知用ポスターのコンペティション」があることは、これも大変、有意義だと思う。
商業的なポスターの場合、共同作業で進行する。写真家やイラストレーターというヴィジュアルを受け持つ才能があり、コピーライターという文章を書くスキルがあり、デザイナーというそれらを統括するマエストロがいる。それはプロフェッショナルの仕事だ。自分の領域において、他者の予想以上の成果を上げることができた者だけが生き残る。しかし、今回のような公募ポスターでは、自分ですべて引き受けなければならない。それぞれの役割を客観視できることが重要だろう。アート作品(たとえ、それが単独の作品であろうと、共同制作であろうと)を作る際には表現のための核はひとつでいいかもしれない。しかしデザイン作品の場合、複数の核を設定し、それぞれの立場になりきり、評価、刺激すること。それを楽しめているかどうかが、選定に大きく影響していると思う。

審査風景

参加者概要

■ 応募総数
45名(男性:29名、女性:16名)
■ 年齢別データ
平均年齢:22.3歳
■ 応募者在住 都道府県データ
全15都道府県
■ 学校別データ(全28校)
武蔵野美術大学 13名 東京ネットウエイブ 1名
多摩美術大学 3名 サレジオ高専 1名
名古屋市立大学大学院 2名 デジタルハリウッド東京本校 1名
京都工芸繊維大学大学院 2名 静岡文化芸術大学 1名
和歌山大学 2名 名古屋造形大学 1名
札幌大谷大学 1名 名古屋市立大学 1名
東北工業大学 1名 京都市立芸術大学大学院 1名
千葉大学大学院 1名 京都精華大学 1名
東京藝術大学大学院 1名 近畿大学 1名
東京造形大学 1名 岡山県立大学 1名
東京電機大学 1名 福岡教育大学 1名
東京純心女子大学 1名 九州造形短期大学 1名
東京デザイナー学院 1名 福岡高等技術専門校 1名
桑沢デザイン研究所 1名 麻生工科デザイン専門学校 1名

主催会社挨拶

■ 服部信治 / 株式会社アーバネットコーポレーション 代表取締役社長
まずは、短期間の告知にも関わらず、ご応募いただいた学生の皆様、本当にありがとうございました。
弊社は、学生限定の彫刻・立体アートのコンペ『アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)』を毎年開催し、今年で8回目になります。このAACの募集告知ポスターは、今までプロの手によって制作していましたが、今回、「AAC参加者と同じ立場の学生に、ポスターを制作してもらおう」というアイデアが弊社スタッフから出て、『AACポスターコンペ』を企画・開催いたしました。彫刻・立体アートのコンペとは全く違う面白い企画。『コンペのコンペ』という趣旨が学生の皆様に伝わるかどうか不安でしたが、たくさんのクオリティの高い作品が寄せられ、光栄に存じております。
AACは、「彫刻・立体アートを学んでいる学生の発表の場が少ない」ということから、「これらを学ぶ学生を支援していきたい」、「彫刻・立体アートと建築が融合することで展示する場を増やし、更には日本のマンションに住まう人々にアートを楽しんでいただきたい」という強い気持ちで始めた学生限定の彫刻・立体アートコンペです。
このAACを広く知っていただくための告知ポスターコンペ(AACポスターコンペ)は、日本で学ぶ学生なら学部も国籍も問わず誰でも参加できるようにしました。実際、コンピュータのプログラムやシステム開発、建築を学ぶ学生からの応募もあり、アートに感心のある全ての学生が切磋琢磨するような場の提供は、有意義な活動になっていくと考えております。
最後になりましたが、お忙しい中、審査にご協力いただいた鈴木様、菊地様には大変感謝しております。ありがとうございました。また、告知にご協力いただきました学校関係者の皆様、マスコミ各社の皆様にも御礼申し上げます。
ジャンルを問わず若い世代のアーティストがAACをきっかけに、日本で、そして世界で活躍することを願って、5回、10回、20回と地道に活動を続けていきたいと考えております。