AAC2008 最優秀賞・副賞 美術旅行レポート

作品タイトル:「ゆるやかなときのながれのなかで」
小椋 聡子(おぐら さとこ)
東京芸術大学大学院 美術研究科
博士後期課程 研究領域 工芸  鋳金
ギリシア アテネ 美術旅行レポート
アクロポリス遺跡
アクロポリスとは「高い丘の上の都市」という意味を持っています。
ここには、パルテノン神殿がそびえ立ち、高度な古代文明の軌跡を感じさせます。大々的な補修工事が行われているにもかかわらず、あまりの美しさに感動しました。
他に、エレクティオンの少女像、イロド・アティコス音楽堂、ディオニソス劇場、アクロポリス博物館などがあります。アクロポリス博物館は、移転中のため閉館していた事が残念でした。
パルテノン神殿 イロド・アティコス音楽堂
古代アゴラ
アゴラとは、現在では市場という意味を持ちますが、古代では政治、宗教、文化施設等が集中した所という意味を持っています。
ここには、アタロスの柱廊博物館があり、柱の美しさもさることながら、古代アゴラで発掘されたものが博物館の外にもあり、出土品の多さに驚きました。
その他、たくさんの遺跡の中、小高い丘の頂上にヘファイストス神殿があります。この神殿は保存状態が非常に良く、金工系にまつわっているので、感慨深いものを感じました。
ヘファイストス神殿 アタロスの柱廊博物館 古代アゴラ遺跡群
デルフィ遺跡
デルフィ遺跡は、アテネからバスで約5時間の山間にあります。
古代世界でのデルフィは、ギリシアだけの聖域ではなく世界の中心「世界のへそ」と考えられていました。
山の急な斜面にある古代劇場やアポロン神殿跡やアテネ人の宝庫があります。
巨大な文明が荒廃し、後にある静寂のデルフィ遺跡は、春の花々に囲まれて、まるで忘れられた天空の城のようでした。
御者の像 古代劇場
アテネ国立考古博物館
アテネ国立考古博物館は、オモニア駅から徒歩で10分位の所にあり、ギリシア各地にある遺跡からの出土品のほとんどが収められています。
先史時代からのコレクションから、古典期・アルカイック期・ヘレニズム期等の様々なブロンズ・大理石の彫刻作品の多さは圧巻です。
彫刻技術と表現方法は時代ごとの特徴があり、とても興味深く感じられました。
アテネ考古学博物館 馬に乗る少年
ピレウスの考古学博物館
ピレウスの考古学博物館は、アテネから地下鉄で20分の所にあります。
博物館の中には、神殿を再現したように出土したコレクション群が展示されている展示場所もあり、2階には巨大なブロンズ像が展示されており、制作過程における様子が気になりました。
ベナキ博物館
ベナキ博物館は地下鉄エヴァンゲリモス駅から徒歩3分位のバシリス・ソフィアス通り沿いの所にあり、先史美術作品から現代アートまで展示されています。
膨大なコレクションは、外観から想像できない趣きのある展示スペースに強い存在感を醸し出していました。
アクロポリ駅
地下鉄の各駅には、地下鉄工事の際に出土された品々が展示されているスペースがあります。
さらに、古代アゴラ付近では遺跡の中に地下鉄が通り、現代のギリシアの人々と古代遺跡の共存があり、古来より受け継がれて来た物を愛でる習慣が、文化の奥深くに培われている事を感じました。
今回「アート・ミーツ・アーキテクチャーコンペティション2008」の副賞で頂いたヨーロッパ美術旅行で、ギリシアのアテネを中心に行ってきました。
この旅行では、古代ギリシアのブロンズ彫刻を中心に観る事と、作品と街や人々がどのように関わっているのかをこの目で観る事を目的とし、自分の作品の探求への糧としていきたいと考えていました。ギリシアでは、古い街並を守る規制があることで、現代と古代の調和が築き上げられている事を実感し、日本での社会と共存していく作品を考える原点になったと思います。
また、古代ギリシア彫刻を目の当たりにした事で、造形美の美しさや古代色の美しさは、作品を制作する上での糧になったと実感しています。
今回、この様な貴重な経験をさせて頂き大変感謝しております。