AAC2004 最優秀賞・副賞 美術旅行レポート

作品タイトル: Family's scenery
青柳 慎
京都造形芸術大学大学院M2
イタリア・オーストリア・チェコ 美術旅行レポート
クリムトは修士論文でも取り上げるなど、私が研究を続けている作家の一人であり、彼が活躍した街であるウィーンはかねてより訪れたい街の一つだったので、イタリア北部の古都ベルガモに私の弟が在住していることもあり、ベルガモ、ウィーン、そしてチェコの首都プラハの3つの街を3カ国に渡って順に北上していくルートで旅行をしました。

イタリア ベルガモ

イタリア・ミラノから車で1時間ほどの距離にあるベルガモは、小高い丘に中世そのままの街並みを残す城下街で、その美しさを楽しむのも束の間、弟の知り合いの現地で陶器の作品を制作している作家の方のアトリエに案内されました。作品を見ながらその方と話しをすると、イタリアの美術学校で日本の楽焼の技法を学び、以後その技法で制作を続けているとのことで、俄然興味が湧き色々と質問をする私に、やった方が早いと言わんばかりにその技法を見せてくれることになりました。
急遽予定を変更して一緒にアトリエで制作することになったのですが、それまで通訳をしてくれていた弟は帰ってしまい、イタリア語の辞書を片手に悪戦苦闘することになります。しかし、徐々にコミュニケーションもとれるようになり、イタリアで出会った日本の技法を学ぶことが出来た私は、充実した時間の確かな手ごたえを胸にベルガモを後にしたのでした。

オーストリア ウィーン

そして次に訪れた街ウィーンは一転して雪の銀世界になっており、今回の旅行の一番の目的であるクリムトの絵画を見るため、はやる気持ちを押さえつつベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館に雪をかきわけ向かいました。図録でしか見たことのなかったその絵を目の前にし、身体が震える想いがしたのは決して大げさな表現ではなく、別格の気品さえ漂っていたのです。後世に残る作品の風格に直面した私は、自身の作品を振り返り、打ちのめされたような衝撃を受けました。

チェコ プラハ

ウィーンもそしてその次に訪れたプラハも、その街並みの美しさもさることながら、それらの建物を装飾する彫刻の一つ一つが実に見事で、そのクオリティの高さに私は自身の作品に置き換え、その作品に対する価値観の殻が何度も崩れる実感を得ることができました。