AAC2008 最終ステージに挑む3作品はコレだ!

(仮)アジールコート荻窪 テーマ「武蔵野の風」
株式会社アーバネットコーポレーションは、2008年6月から9月3日まで「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)2008」として、(仮)アジールコート荻窪のエントランスホールに展示する立体アート作品を、全国の美術を学ぶ学生から募集いたしました。8回目となる今年は、昨年を18点上回る54点の高レベルな作品が集まり、9月5日に一次審査会を開催。1点1点厳正なる審査のもと、最終審査会にすすむ入賞3作品、ならびに入選10作品が決定いたしましたのでご紹介いたします。
応募について
54作品(2007年:36作品)
3点応募・・・1名
2点応募・・・3名
応募者数:49名(2007年:36名)
24.5歳(男性:24.3歳、女性:24.7歳)  最年少20歳・最年長35歳
■ 男女比(総数=49名)

■ 学年
■ 都道府県別(住所)
■ 学校別

学部専攻: 彫刻・彫塑が18名。
 教育学部(美術系)6名、ガラス3名、鋳金3名、漆2名、セラミック2名、他、染織テキスタイル、医学部など
過去のAACに応募されたことのある方

一次審査について

募集 マンションの共用空間に展示するための立体アート作品
設置場所 「(仮)アジールコート荻窪」マンションのエントランスホール(東京都 杉並区)
テーマ 「荻窪の風」
分野 立体アート(彫刻、レリーフ等も含む立体作品)
材質 石・鉄・木・FRP等、長期展示に耐えうる素材
作品サイズ 展示スペースに収まる寸法で、重量約150kg以下
展示スペース 幅1,640×奥行400×台座を引いた高さ1,950/台座の高さ300 (単位:mm)
入賞受賞者 制作補助金として25万円を支給。12月の最終審査会にむけて実制作に入っていただく
・氏名、性別、学校、受賞歴などのプロフィールについて、完全に伏せた上での審査
・判断材料はA4サイズのプレゼンシート2枚
(スケッチ・マケット写真など、タイトル、素材、サイズ、重量、コンセプト、イメージに近い既存作品や過去の自分の作品写真)
・各選考書類、および作品サイズ・重量について規定外枠を設けた
酒井 忠康 (世田谷美術館館長/審査員長) 小柳 敦子 (ギャラリー小柳ディレクター) 鈴木 芳雄 (編集者)
内田 真由美 (アート・コーディネーター) 服部 信治 (主催会社 代表取締役社長)

≪入賞≫ ※応募順

「Wall」

三上 賢治
広島市立大学大学院 芸術学研究科 総合造詣芸術 博士後期過程1年
素材:御影石
・入賞者コメント
この度AAC2008入賞のご連絡を受け大変驚きました。
ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITIONは、マンションの共用空間に作品を設置するという、芸術がより身近なものになるための素晴らしい企画だと思います。今回の入賞は、広島を中心に作品を発表してきた私にとって他の地域で作品を見ていただける機会に恵まれ、大変感謝しています。12月に行なわれる最終審査に向けもう一度プランを読み直し、作品が置かれる場所に住む人達を想像しプラン以上の作品ができるよう精一杯頑張ります。よろしくお願いいたします。
・コンセプト
エントランスホールという人々の行き交う流動的な場所で、空気のように捉えることのできないものを石という限定された素材から考察し、空間の中に存在させたいと考えています。作品に空間への広がりを感じさせるために石の表面を一本一本線刻した時にできる凹凸によって輪郭を曖昧にさせ、作品と作品を設置する空間との境界を曖昧にすることで、作品と空間が異質な空気として存在している状態をつくりたいと考えています。今回の作品には、作品が置かれるエレベーター横の壁から派生してくる異質な空気がエントランスホール全体へと広げていくイメージがあり、作品名をWallとしました。入り口であり、出口であるエントランスホール内に漂う静謐で、流動的な空気を多くの人に感じて頂けたらと思います。

「ときのなみ」

奥村 太郎
京都市立芸術大学 美術研究科 彫刻 院1回生
素材:ポリプロピレン
・入賞者コメント
金曜の夜にAACから「月曜日にまたかけ直します。」と留守電に入っており、何だろうか、まさか入賞…いや意外に記入漏れかも…と思っていたらそのまさかでした。選んで頂いた方々に感謝の意を述べたいとともに、住居者やまたそこを通りがかった人の心に響き続けるような作品を制作していきたいと思います。
・コンセプト
この作品は日常的に私たちが使っているプラスチックのコップやバケツなどを細かくして型に溶かして流し込んで造形しています。色は着色せずに素材の色がそのまま出てきています。最後に表面を鏡面まで磨き上げます。プラスチックという現代的な素材でありながら長い年月をかけてできた石のようにも見え、新しさと伝統的な重みを表現しました。作品は風に吹かれて揺れる水面のイメージで観者の姿が映り込むようになっています。これは文化と歴史ある町に吹く新しい風の中に観者(住居者)がいることを表現しています。

「ゆるやかなときのながれのなかで」

小椋 聡子
東京芸術大学大学院 美術研究科 博士後期課程 研究領域 工芸  鋳金
素材:ブロンズ
・入賞者コメント
今回の『ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION 2008』の入賞を頂くと共に、公共の場での作品展示に参加する機会を頂き、大変感謝しております。今回の展示場所である、マンションのエントランスとは、様々な人が行き交うことで、様々な想いが流れる場になると考えています。日常生活の中で、人の心は一様に同じではなく一瞬一瞬に変化し、同じ姿を現す事のない自然の風景のようでもあります。家というものは心休まる場所の一つです。その中で心休まる場の入り口として、作品が、エントランスを通過していく人の、一瞬の心の変化に呼応し、心和らぐ存在へと到達するように探求していきます。この様に、公共の場での展示、限られた時間・範囲の中において、充分な責任を持ち、古典技法を使用した作品を制作する中で、社会における美術作品の意義について肌で実感していくと共に、自分自身の可能性を高め、作品制作に挑んでいきたいと考えています。
・コンセプト
荻窪の名の由来においても、この地は、様々な生き物がにぎわう豊かな自然に囲まれていたことが伺えます。今日、森林地や農地が宅地化され自然環境が大きな変動の波にさらされている中で、荻窪は、この自然環境を守り増やす取り組みが行われている為に樹林地などまとまった緑や水辺があります。散歩をしていると、残照の中にある水辺に映る美しい情景に出会いました。美しい残照の情景は、一刻一刻と景色に変化をもたらし、その景色を水面は鏡の様に映し出すと共に、穏やかな風でも容易に変化しました。水面に写った景色の絶えず移り変わる姿は、同じ姿でも溜まる事のない変化を続ける日常の様に感じられました。そこで、残照の儚くも凛とした水面の情景の姿を創り、生活のより身近な場所に置く事でより荻窪の自然を慈しむ事ができると考えます。家というものは、心休まる場所です。住んでいる方々や訪ねて来られた方々が、エントランスを通過する際に感じる心休まる空間となるオブジェの設置を提案します。
≪入選≫ ※応募順

「相(仮)」

本郷 芳哉
東京藝術大学 美術学部 彫刻科 大学院2年
・入選者コメント
今回制作の機会がいただけなかったことは残念ですが、このような評価をいただいて感謝しています。より良いものが創れるよう今後も精進していきたいと思っています。
・審査員コメント
彫刻造形の基本的な形なのでどちらかと言えば、ありがちな作品ではあるが、力強くて面白そう。鉄の持っている素材の質をよく理解している。経験を積むことで鉄の“こなし”が良くなると思う。

「存在ピラミッド」

松本 商利
東北芸術工科大学 芸術学部美術科 彫刻 3年
・入選者コメント
入選させていただきありがとうございます。入選させていただけたことがとても喜ばしくまた自信とつながりこれからの活動の原動力となります。マンション空間内の作品提案は初めての経験でとても興味深く作成することができました。この経験を第一歩にこれからもっと高いステージへ上がれるよう日々精進していきます。今回は本当にありがとうございました。
・審査員コメント
コンセプトシートが非常に良く出来ていた。『建物が生き物の姿を借りて現れる』、『私たち人間が時を歩むように建物も共に時を歩む存在であることを感じてほしい』等のコンセプトも良かった。象徴的な形が見飽きさせない。鉄を素材に用い、技術的にも非常に高いものがある。

「オト」

藤堂 安規
多摩美術大学 美術学部 彫刻 3年
・入選者コメント
本格的なプレゼンシートの制作を経験し多くのことを学びました。この経験は今後の作品制作や活動に生かせると思います。最後になりましたが、AAC審査関係者皆さま、入選を頂き有難うございました。
・審査員コメント
音を表現しようというのは良い試み。ただ、考え過ぎたところがあるのだろうか。もう少し突き抜けた感じが欲しい。このまま突き進んで、もう一皮むけるのを楽しみにしている。鉄の使い方は大変好ましい。鉄には膨張する鉄と凝縮する鉄があって、これは凝縮する鉄を使っている。膨張する鉄の使い方よりこちらの方が難しいが、鉄の使い方は間違っていない。コンセプトが非常に練られており、完成度が高い。コンセプトシートもしっかり完成されていて良い。

「bubble lighting」

金 峻永
愛知県立芸術大学 美術研究科 ceramic design 研修生
・入選者コメント
選ばれたことは自分にとって、すごく嬉しいです。ありがとうございます。芸術作品が建築の色んな空間に置かれ、人々が楽しい時間を過ごせることは嬉しいことです。このようなコンペで芸術作品が建築空間にもっと広がったら良いと思います。その為にも今回を土台にし、もっと頑張りたいと思ってます。
・審査員コメント
参考例で挙っている作品から想像すると、とても期待できる。さわやかで清潔感があり、どの空間にも合う。ただ、具体的なイメージがわかるような説明が、プレゼンシートに不足していて判断し難かった。高さ規定も外れていて残念。デザインセンスがあるだけにもったいない。

「雲の記憶」

濱田 卓二
金沢美術工芸大学 美術工芸研究科 彫刻専攻 修士2年
・入選者コメント
今回は入賞に入れず大変残念で悔しいですが、これも今の自分の実力と受け止めて、今後より良い作品が作れるよう頑張りたいと思います。
・審査員コメント
形の自由さ、暖かみがある形、ほのぼのとした雰囲気が良い。空間に凝縮感が出て面白いだろう。物語性があり秘めたところが興味深い。

「ruah -草原をながれる風-」

平原 なつこ
東京藝術大学 美術学部 彫刻 博士3年
・入選者コメント
今回入選したことは、大きな励みになりました。今後もより一層制作に励んでいきたいと思います。ありがとうございました。
・審査員コメント
爽やかな風を運んできてくれるような雰囲気が漂い、集合住宅との素材の相性は非常に良い。ただ、人が行き交う共有スペースに長期展示するには、メンテナンス面をもう少し考慮して欲しい。絵画と彫刻の丁度その合間を縫って、色々な問題意識が交錯するが、色彩感覚に優れ、大いに素質があるので期待したい。

「Layer」

林 美希
武蔵野美術大学 造形学部 工芸工業デザイン学科 陶磁専攻 3年
・入選者コメント
この度は入選させていただき、ありがとうございました。マンションのエントランスに実際に飾られることを考え、作品を作るというのは新鮮でとても勉強になりました。大賞をとれなかったことは残念ではありますが、初めてのコンペで審査員の皆様にご評価いただけたことは、とてもうれしく思います。これからも日々努力し、制作に励んでいきたいと思います。ありがとうございました。
・審査員コメント
技術は非常に高い。この作品は見てみたい。もうひとつ出展されている作品も光が通って綺麗だろうなと思う。半屋外なんかでは使えそう。ただ、形状から埃などで汚れることが想定される。そのあたりのメンテナンス面を考慮すると良い。今後、この作風を伸ばしていって欲しい。

「Windhole」

塩井 一孝
福岡教育大学 教育学部 美術(立体構成研究室) 4年
・入選者コメント
もっと過激に作品を制作していきたいと思います。入選させて頂き、ありがとうございました。
・審査員コメント
鉄は錆びるので、メンテナンスの問題が不安。表面加工をどうするか?今回のようなパブリックに設置するという条件があって制作する場合は、サビや経年変化の問題も配慮して対応しなければいけない。野外の仕事を一度やってみて経験を積んで欲しい。形はとても面白い。

「Internal Flower ~cross people~」

日置 智也
大阪芸術大学 美術学部 彫刻 院生1回生
・入選者コメント
今回このようなコンペに応募するのは初めてでした。アートの発表の場としてだけではなく社会とアートとのつながりの場として大変勉強させられました。勉強というより、今まで社会との関係性を意識はしてきました、しかし実践的にそのもの事を伝える、アートをどう相手に伝えるのか、社会にどう伝えて行く事が出来るのか考えさせられました。アートから社会にアピール出来るように頑張っていきたいと思います。
・審査員コメント
軽やかな形態で、パブリックなスペースに適したデザイン。形がどんな空間にも順応できそう。照明の当て方で、表情が色々変わって面白い。軽くて設置しやすいので、手の届かない空中とか天井、吹き抜けに置くと面白いだろう。ただ、メンテナンスの問題を考慮する必要がある。メンテナンスの部分をクリアすれば様々な空間で使えるだろう。面白い作品だけに、今後は素材も研究してもらいたい。

「麦と風と」

黒石 かおる
多摩美術大学 美術学部 工芸学科ガラス専攻 2年
・入選者コメント
かつて武蔵野は水に恵まれない土地であったため水田はほとんどなく麦畑であった。国木田独歩が愛したそんな武蔵野の地に思いを馳せ,麦畑に吹く爽やかな風をイメージしてこの作品を考えました。選んで頂きありがとうございます。この入選を機会に今後も製作に励みたいと思います。
・審査員コメント
実際にこのような色が出るのか、実物の具体的なイメージも含め、このプレゼンシートだけではわかりにくい。照明のあたり方とか照明装置の具体的なアイデア、ご自身の既存作品をプレゼンシートに掲載すれば審査員に伝わりやすかったのでは。作品は面白そう。まだまだ、これから。今後に期待したい。

主催会社挨拶

■ 服部信治 / 株式会社アーバネットコーポレーション 代表取締役社長
弊社は、2001年度から学生限定の彫刻・立体アートコンペ『アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)』を毎年開催し、今年で8回目になります。
このAACは、自社ブランドのマンションに常設展示する彫刻・立体アートを募集したもので、今年は全国から54作品が集まりました。ご応募いただいた学生の皆様、誠にありがとうございました。
また、ご協力いただきました学校関係者の皆様、マスコミの皆様、そして審査員の皆様にも心から感謝いたします。ありがとうございました。
今年の応募作品は、プレゼンシートがしっかりと作り込まれているものが多く、クオリティーの高い作品がそろい、審査員を悩ませました。討議を重ねた結果、最終審査会にすすむ3作品を決定いたしましたが、この3作品以外にも、実際に見てみたいと思う作品が多くあったことをご報告いたします。
最終審査会にすすむ3名の方には、ご自身の持っている力を存分に発揮していただき、アジールコート荻窪(仮)のエントランスに、常設展示されることを目標に制作していただきたいと存じます。このAACへのチャレンジが世界に羽ばたく第一歩となることをお祈りしています。