第11回 学生立体アートコンペ「AAC2011」 審査結果

「アートのあるライフスタイル」の提案とともに、若手アーティストの発掘・支援・育成を目指して実施している学生限定立体アートコンペ「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)」の最終審査会を、2011年12月7日、東京都墨田区の「両国2プロジェクト(ステージファースト両国アジールコート)」で開催いたしました。
今回で11回目を迎える本コンペは、同年6月から9月までの約3ヶ月間、全国の美術を学ぶ学生から作品を募集。
28点のハイレベルな作品が集まった一次審査会で選出された3名が、展示場所となる「両国2プロジェクト(ステージファースト両国アジールコート)」のエントランスホールに、実制作した作品を1点ずつ仮設置してプレゼンテーションを行いました。厳正な審査の結果、以下のように受賞作品が決定いたしましたのでご紹介します。

最優秀賞


「HOPE」
堀 康史(ほり やすし)
多摩美術大学
美術学部 油画専攻 4年
■堀 康史さんのコメント
この度は素晴らしい賞を頂きありがとうございます。
今回の作品はシンプルな分、細かな配慮がたくさん必要で普段の制作では味わえない経験が出来ました。展示空間を意識しインスタレーション性を重視したので、ここへ展示され続けることはとても嬉しいです。
これを励みにこれからも頑張っていきます。
また、先生方や友人のアドバイス、アシスト無しでは完成しませんでした。大変お世話になりました。
ありがとうございました。

■ 審査員長コメント
今回の設置条件に対してよく考えられた作品でした。
展示場所は、若い入居者が多い都内のワンルームマンションという空間です。
堀さんの作品は、入居者の方に「こんな素敵な作品がうちのマンションにあるから遊びに来ない?」と友人を招待できるような、このマンションに住んでいること自体を楽しんでもらえたり、誇らしい気持ちになるようなエントランスになる予感を持っていました。

■ 最終設置作品(画像クリックで拡大)

 

優秀賞

「土塊」
帆足 枝里子(ほあし えりこ)
女子美術大学大学院 美術学部 立体芸術専攻

■ 帆足 枝里子さんのコメント
この度は実寸制作と発表の機会を与えていただき、大変嬉しく思っております。
公共の場への設置を目的とした作品制作を学生のうちに体験できたことは、企画、制作過程、設置の全てが、今後につながる良い経験になりました。
また、審査員の先生方や、他学校の方々とお話でき、作品についてのアドバイス等をいただいたことは、大変良い刺激になりました。
本当に、ありがとうございました。

 

■ 審査員長コメント
プレゼンがとても上手く、マンションの立地条件などに対するコンセプトも明確だったので、感心しながらお話を伺っていました。
アルミニウムの箱に土を貼り付けて、その土が乾燥によるヒビ割れをみせる作品です。気になったのは、土の下のアルミがやや目立ってしまっていて、もう少し土の存在感を出せていれば、よりコンセプトに近いものになったのではないかと思いました。
「時を紡いで」
向川 千世(むかいがわ ちせ)
大阪教育大学大学院 教育学研究科 美術教育専攻

■ 向川 千世さんのコメント
作品の発表の機会を与えていただき、ありがとうございました。 
建築物と彫刻作品が調和してどのような空間になるかということは、実際に展示してみることによって初めて分かるものがあり、空間の演出の難しさを感じました。
審査員の方々には展示方法などの貴重なご意見もいただき、とても勉強になりましたし、他の方の素晴らしい作品も拝見し、充実した時間を過ごすことができました。
この貴重な経験を糧とし、今後の制作活動に活かしていきたいと思います。
■ 審査員長コメント
彫刻作品の完成度や観た人を楽しませるモチーフが目に留まりました。
設置場所がマンションのエントランスを入ったところの壁の前という、正面性が強い空間であったのに対し、360度回り込みながら鑑賞することが望ましい作品だったため、設置空間と作品のマッチングが少し弱かったと感じました。

プレゼンテーション・審査風景

AAC2011総評

■ 酒井 忠康 氏 / 世田谷美術館館長、美術評論家

三者それぞれ魅力的な作品を作ってくださったのですが、最終的に1つを最優秀賞に選ばなくてはならず、非常に困りました。
今回は堀さんの作品を最優秀賞としましたが、それぞれの作品に持ち味が発揮されていたと思います。

これから色々なお仕事をしていかれる3名の若い作家の方々に、励ましの言葉として、ドガの言葉を贈ります。
ドガは、皆さんもご存知のフランスの画家です。非常に優れたデッサン家であることも有名で、晩年目が不自由になり、彫刻を作ることになりました。
私が何度も読んだ、ドガのデッサンについて書かれた大変刺激的な本があります。
その中に、「デッサンはモノの見方の提案である」とありました。
つまり、デッサンは、作品を完成させるための手続きではないということです。
別の考え方をすると、失敗してもいいからモノの見方の提案を大胆にしてください、ということでもあると思うのです。
若い時は上手く見せることにあまり神経を使わないで、失敗してもいいから、思いの丈を込めた仕事をして、積極的に提案をしていって欲しいと思います。

AACのような活動は、全国でもこのコンペだけしかなく、皆さんは貴重な体験をされたと思います。
この体験を、今後の糧にしてもらえれば嬉しいなと思います。期待もしております。
これからも頑張っていい仕事をしてください。
最終審査結果発表
表彰式・授賞式
表彰式・授賞式 AAC2010
表彰式・授賞式 AACポスターコンペ2010
懇親会