第10回 学生立体アートコンペ「AAC2010」 審査結果

「アートのあるライフスタイル」の提案とともに、若手アーティストの発掘・支援・育成を目指して実施している学生限定立体アートコンペ「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)」の最終審査会を、2010年10月15日、東京都江東区の「森下プロジェクト(AXAS 森下 Sta.)」で開催いたしました。
今回で10回目を迎える本コンペは、同年6月から8月までの約2ヶ月間、全国の美術を学ぶ学生から作品を募集。
27点の高レベルな作品が集まった一次審査会で選出された3名が、展示場所となる「森下プロジェクト(AXAS 森下 Sta.)」のエントランスホールに、実制作した作品を1点ずつ仮設置してプレゼンテーションを行いました。厳正な審査の結果、以下のように受賞作品が決定いたしましたのでご紹介します。

最優秀賞


作品タイトル:
A.S.series 「第二の扉」
宮原 嵩広(みやはら たかひろ)
東京藝術大学大学院 美術学部 彫刻科

宮原 嵩広さんのホームページ
■宮原 嵩広さんのコメント
この度は最優秀賞というすばらしい賞をいただき誠にありがとうございました。
立体コンペでありながら立体とは言い難いコンセプチャルな作品を応募し、素材がシリコーンでパブリックな場所に設置など不安要素が多々あり、まさか受賞できるとは思ってもいませんでした。
制作するにあたってプレッシャーを感じましたが、挑戦的にわがままに作らせていただきました。実際に展示してみて作品を置くことによって空間を作れた様な気がして、それがすごくいい経験になりましたし、多くのことを学ばせて頂きました。その作品が評価されたことはすごく嬉しいですし自信を持てるようになりました 。
審査員の方々には貴重なコメントを頂き本当にありがとうございました。この受賞に慢心せずさらにいい作品が作れるよう頑張っていきたいと思います。
■ 審査員長コメント / 新見 隆 氏
今回の募集は、アルコーブに立体作品の提案をして欲しいというものだったのですが、ある程度アルコーブに置いただけじゃ面白みにかけると思われたのでしょうか、逆にアルコーブを、シリコンとウレタンで手作りされた一枚の石でぴったり埋め込む様な仕事を披露されました。
これは我々にとって、プロポーザルの条件を一種覆すようなものでもあり、とても衝撃を受けました。
■ 最終設置作品

優秀賞

作品タイトル:「セルメン」
堀 康史(ほり やすし)
多摩美術大学 美術学部 油画専攻 3年

■ 堀 康史さんのコメント
この度は作品を制作する機会を与えていただき大変嬉しく思います。
これだけ目的がはっきりしていて、責任も伴うことは初めての経験でした。また制作過程においても自分にとって実験的な部分が多く、非常に勉強になりました。
プレゼンや懇談会での審査員の方々のちょっとした一言に自分の不甲斐なさを感じ、より一層身を引き締めなければいけないことに気付かされました。
貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

 

■ 審査員長コメント / 新見 隆 氏
樹脂粘土によって深川の花火や下町、宇宙というイメージを膨らませてプレゼンをされました。
実際は、非常に細かい樹脂粘土をそうめんの様な形に作り、まんなかに球体、それを四方から結ぶという、あまり類例のないプレゼンテーションでした。作品の完成度も非常に高かったし、質感が面白いので、とても驚きました。
作品タイトル:「彩」
小野 真由(おの まゆ)
多摩美術大学 美術学部 工芸学科 陶プログラム 3年

■ 小野 真由さんのコメント
この度はAAC2010に参加させていただき、また、優秀賞を頂きありがとうございます。
計画から実制作、審査まで、全てに、責任感や緊張感を感じました。しかし、そのことで大変充実した期間となりました。
審査員の皆様や、他学校の学生の方とお話できたことも素敵な時間でした。
素晴らしい経験をさせていただいたことに感謝しています。またこの経験を糧とし、制作を続けていきます。本当にありがとうございました。
■ 審査員長コメント / 新見 隆 氏
小さいブロックのような形の、継ぎ目の入ったブロックを、陶と磁気でマーブル模様のように積み重ねたものを一体成形して焼いた、非常に細かいお仕事。
労力もかかっているでしょうし、焼き上がりが抜群に素晴らしかった。
そしてまた照明をあててみると陰影が美しかった作品です。

プレゼンテーション・審査風景

AAC2010総評

■ 新見 隆 氏 / 審査員長 デザイン・美術評論家、キュレーター

このAACという学生立体アートコンペは、年々ご活動が広まって、今年も沢山の応募がありました。
夏頃、プロポーザルされた書類での第一次審査がありまして、3名の方が優秀賞が決まり、それ以外にも実作品を見てみたいと思わせるレベルの7名の入選者の方が選ばれました。
最終審査では、その選ばれた優秀賞3名の方に実作品を持って来ていただき、森下の新しいマンションでプレゼンテーションをしていただきました。
3名ともそれぞれの面白いお仕事をされていて、しかも完成度が非常に高いものでした。
審議では、実はほとんど同点だったため「どなたにあげてもいい」、「特別賞はないのか」など、様々な議論があり、最終的に宮原さんの作品を最優秀賞と決定いたしましたが、優秀賞のお2人の作品も甲乙付け難いくらい完成度が高く、またユニークであったということをご報告いたします。

オランダで10年程前に出来た新しい法律で、ある程度の規模以上の建物を作る場合、総工費の一部を必ず美術作品に使わなければならないという決まりがあります。
日本ではそういった美術をサポートするようなインフラを作るところまではまだ達していませんが、AACのような形でサポートをされている企業、または協賛してくださっている企業は沢山いらっしゃいます。

このコンペを通して、頑張れば必ず街にアートが広がるというのが実感として僕もわかりました。
アーティストのみなさんにも、これから仕事が沢山あります。
これからも、頑張って制作を続けていただきたいと思います。
最終審査結果発表
表彰式・授賞式
表彰式・授賞式 AAC2010
表彰式・授賞式 AACポスターコンペ2010
懇親会