AAC2010 最終審査に挑む3作品を発表!

(仮)森下プロジェクト
 株式会社アーバネットコーポレーションは、2010年6月から8月12日まで「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)2010」として、「(仮)森下プロジェクト」のエントランスホールに展示する立体アート作品を、全国の美術を学ぶ学生から募集いたしました。
今年で10回目となる当コンペ。毎年、アイディアは面白くても耐久性の面で授賞を逃してしまう作品が多かったことから、今年は応募要項に、「長期展示に耐えうる素材(作品は常設で20年以上展示)」という規定や、「作品は展示場所にアンカー等で固定できる形状」という条件を新たに追加しました。結果、応募数自体は減少しましたが、27点の非常にハイレベルな作品が集まりました。
一次審査会は8月17日に開催。1点1点厳正なる審査のもと、最終審査会にすすむ入賞3作品、ならびに入選7作品が決定いたしましたのでご紹介いたします。

応募について

27作品(2009年:36作品)
応募者数:22名(2009年:35名)
24.2歳(不明:1名) 最年少21歳・最年長30歳
■ 男女


■ 都道府県別(住所)
■ 学年


■ 年齢
■ 学校別


■ 学部専攻
彫刻 11名 工芸 3名、教育学部(美術系)1名。その他 美術、油画、テキスタイル等
過去のAACに応募されたことのある方
2009年度応募:4名(入賞:1名)
2008年度応募:1名(入賞:1名)

一次審査について

募集 マンションの共用空間に展示するための立体アート作品
設置場所 「(仮)森下プロジェクト」マンションのエントランスホール(東京都江東区)
分野 立体アート(彫刻、レリーフ等も含む立体作品)
材質 石・鉄・FRP等、長期展示に耐えうる素材(作品は常設で20年以上展示)
作品サイズ 展示スペースに収まる寸法で、重量約100kg以下( 展示スペースの壁面に設置する場合、重量約10kg以内)
展示スペース 幅1100×奥行350×高さは台座によって変わる。1400~1850 (単位:mm)
台座サイズ 幅1100×奥行350×高さは、300・600・750から自由選択 (単位:mm)
補助金 制作補助金として20万円を支給。(搬入出料別途相談)10月の最終審査会にむけて、実制作。
・氏名、性別、学校、受賞歴などのプロフィールについて、完全に伏せた上での審査
・判断材料はA4サイズのプレゼンシート2枚
プレゼンシート1:スケッチ・マケット写真など
プレゼンシート2:タイトル、素材、サイズ、重量、コンセプト、イメージに近い既存作品や過去の自分の作品写真
・各選考書類、作品サイズ、重量などの、規定外箇所を明記
新見 隆  (デザイン・美術評論家、キュレーター/審査員長)
植松 奎二 (芸術家)
千葉 由美子(ユミコチバアソシエイツ代表)
服部 信治 (主催会社 代表取締役社長)

≪入賞≫ ※応募順

セルメン

堀 康史さん
多摩美術大学 美術学部 油画専攻 3年
素材:樹脂粘土、木材、鉄
・入賞者コメント

この度AAC2010に入賞させて頂き、とても嬉しく思っております。また、作品に興味を持って頂いたことだけでも、自分のやってきたことに少し自信を持つことが出来ました。
作品はまだ私の頭の中にあるので、それが目の前に現れることが自分でも楽しみです。
1つの作品にこんなにも責任を感じることは初めてで不安もありますが、期待に応えられるよう全力を尽くします。

・コンセプト
コンセプト・ポイント : この作品は球状になったそうめんです。
マンションのコンセプト文にある「相撲」「花火」などから作品テーマを「日本」に設定しました。
そこで選んだ素材が、食品サンプルです。
日本で生まれた食品サンプルはキーホルダーやストラップになったり、手軽に作れたりと私たちに身近な物となっています。
また自分の家は落ち着く場所でならなければなりません。
マンションの入り口にある物は存在感や圧力が強い物ではなく、遊び心があり安心出来る物が良いと私は考えます。

その食品サンプルで「そうめん」を表現します。
そうめんの固まりは見ようによっては、食べ物には見えなくなり見る人の想像力を膨らませます。
またそうめんが持つ色が、「モノトーンで表現した」というマンションに合うと思いました。
形は「花火」と、「細胞」や「心臓」をイメージしています。
また、球体と直線で有機的な物の中にも緊張感を生み出しています。

(仮)A.S. style-morisita project

宮原 嵩広さん
東京藝術大学大学院 美術学部 彫刻科
素材:シリコーン、ウレタン、その他
・入賞者コメント

この度は入賞者に選んで頂き誠にありがとうございました。

自身初めてのコンペで不安な事ばかりでしたし、
作品を評価される機会は数少なくどの程度のものを作れているのか図りかね
暗中模索しているなかでの受賞でしたので大変嬉しく思います。
この結果に臆することなく自分らしい作品になればと思います。
また公共の場に設置するという事で様々な条件をクリアしなければならない作品をシリコーンを用いた作品で挑戦できる機会を与えて頂いた事はやりがいがあり
ベストを尽くしたいと思います。
ありがとうございました。

・コンセプト
私はシリコーンなどを用いて石など自然物を制作しています。始めは美術に対する疑問から制作を始めましたが、最近では今を生きる自分自身が抱える不安からかもしれないと考える様にもなりました。たとえば何か調べている時インターネットなどの情報だけで済ませてしまうことがある。記憶とデータ保存の混同、生である(実際に体感する)必要性に疑問さえ感じてしまう。
しかし、確かに感じる原石や原木などから発せられる言葉。データにはならなものをイミテーションすることはどこか現代の矛盾、不安を表現できるのではないかと考え制作しています。
利便性のみの追及に疲れてしまった現在、エコという言葉で何とか均衡を保っていて気づいてはいるが何が人々にとって良いことなのか解らずにいる。触れることのできる自然も人に管理されたものであることが多い。
豊かな自然を擁する街と発展都市の2面性その場所に建てられる(仮)森下プロジェクト、そこに住む人や訪れる人にリアリティーとは自然物とはを考えてもらえる様な作品を置くことが必要なのではないかと考えます。

小野 真由さん
多摩美術大学 美術学部 工芸学科 陶プログラム 3年
素材:陶
・入賞者コメント

この度の受賞、大変光栄です。ありがとうございます。
真新しい建物に置かれていること、作品と向かい合う方々のこと、十年後、その十年後にも同じ場所にあること、など様々な状況を想像をし、計画しました。
その実現に一歩近づくことが出来て、とても嬉しいです。
これから実現に向けて制作をします。そして、完成した作品と一緒に、審査員の方、他の受賞者の方々とお会い出来るのを楽しみにしています。

・コンセプト
建物とエントランスに調和しやすい、モノトーンが相応しいと思った。
しかし、人々を送りだし、迎える場所には花のような彩があることも必要だ。そして元気を与えられるものが良い。
「無彩色で表現する彩り」 これを主なコンセプトとした。
白を基調とし、複雑な光と影を作る事で自然にできるモノトーン(無彩色)を見ることができる。
さらに、毎日目にするものだから、与えるだけではなく、人の思いを受け入れて、包み込めると良いと思った。
「大きな包容力」 これも重要だと考えた。使用する陶の素材の塊には、重厚な趣と、包容力を感じられる。
≪入選≫ ※応募順

Coexistence

light`s rain

内田 元基さん
多摩美術大学大学院 美術学部 彫刻専攻 美術研究科
明石 祥吾さん
京都精華大学 芸術学部 素材表現エキスタイルデザインコース学科 4年
・審査員コメント
造形的な発想としては単純であるが、ものの持っている落ち着きがある。
展示スペースにこの作品が納まったときに、それをうまく表現できるようなら面白い作品になりそう。
・審査員コメント
布の持っている性質をうまく生かした形で構成出来ている。
完成形がどういった状態で出てくるのか想像が出来ないので、仕上がりが楽しみな作品。
また、ファッションの発想をそのまま彫刻に持ってきた点も面白い。
今回は、耐久性やメンテナンスの問題で、残念ながら入賞には至らなかったが、作品としては今後の可能性も含めて非常に面白い。
但し、実際にパブリックでも布の作品を採用している例もある。そういった場合は、破損などがあった際すぐに対応できるような対策が必要で、そういった点も考慮して制作をして欲しい。

「any stone and light,water」

「水雲(みずくも)」

遠藤 章子さん
筑波大学大学院 芸術専攻 人間総合科学研究科
胡宮 ゆきなさん
沖縄県立芸術大学大学院 生活造形専攻 陶磁器専修 大学院造形芸術研究科
・審査員コメント
唯一ガラスの素材だったこと、光を使っているところが綺麗だと思った。見る人に安定感を与える作品。
しかし、スケール感が残念で、与えられたスペースに対してもう少しボリュームがある思い切ったデザインにしても良かった。また、もう少し造形性があっても良かったように思う。
・審査員コメント
焼物の作品が面白いと思ったが、むしろ過去の作品例として挙げている雫形の作品の方が、空間と動きのある焼物との関係性が面白く、それが今回の作品に上手く表現されているかというと、厳しい。
また、過去の傾向を見ると、今回の試みが上手く行くのかどうかという危惧もあった。
細長い作品を3点並べるので、空間に対して寂しい感じもある。もう少し思い切って制作して欲しい。

「Doors」

「Dots Trees -Morishita Project-」

磯 俊宏さん
多摩美術大学大学院 美術研究科 彫刻専攻
塩井 一孝さん
福岡教育大学大学院 美術教育コース 教育科学専攻
・審査員コメント
「デザイン」し過ぎているのが気になる。
応募作品は、与えられた空間とコラボレーションするというタイプと、与えられた空間に意味を持たせるというタイプに分かれるが、この作品は後者。しかし、そういったコンセプチャルな作品は、それ自体の完成度が重要になってくるため、この段階での判断は非常に難しい。言い方が適切ではないかもしれないが、チープな仕上がりになってしまうのが一番怖い。
・審査員コメント
自然な木を使っている点や、アプローチは良いが、この展示スペースにこういった形ではめ込むと、コルクの様に見えてしまう気がする。過去の作品例の様に、もう少し装飾的であったり、ごつごつした物質そのものが出てくるような工夫が欲しい。

「望遠の空」

八木 貴史さん
武蔵野美術大学大学院 造形研究科 美術専攻 彫刻コース
・審査員コメント
ステンドグラスの様な効果を、模様や光の屈折などで出そうとしていて、それがどんな感じに仕上がるのか楽しみな作品。アイディアとチャレンジ精神に期待できる。
しかし、逆に失敗して模様が綺麗に出なかったり濁ったりしてしまったら、安っぽい以前の問題になってしまい、一か八かという危険性があったため、入賞には至らなかった。
また、上部をアーチ状ではなかったり、枠(フレーム)が無く造形的な形がただあるというほうが面白いかもしれない。
ここの空間に、ゴシック風の窓を持ってきた必然性が感じられないのが残念。

主催会社挨拶

■ 服部信治 / 株式会社アーバネットコーポレーション 代表取締役社長
弊社は、2001年度から学生限定の彫刻・立体アートコンペ『アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)』を毎年開催し、今年で節目のとなる10周年を迎えました。
このAACは、自社ブランドのマンションに常設展示する彫刻・立体アートを募集するもので、今年は全国から27作品が集まりました。ご応募いただいた学生の皆様、誠にありがとうございました。
また、ご協力いただきました学校関係者の皆様、マスコミの皆様、そして審査員の皆様にも心から感謝いたします。ありがとうございました。
今年は、応募数が少ないながらも、しっかりと作り込まれたコンセプトや、意外な形状・素材を使用した面白い作品が多く、審査員を悩ませました。討議を重ねた結果、最終審査会にすすむ3作品を決定いたしましたが、この3作品以外にも、評価の高い作品が多くあったことをご報告いたします。
最終審査会にすすむ3名の方には、ご自身の持っている力を存分に発揮していただき、「(仮称)森下プロジェクト」のエントランスに、常設展示されることを目標に制作していただきたいと存じます。このAACへのチャレンジが今後の創作活動の重要な糧となることをお祈りしています。