AAC2009 最終ステージに挑む3作品はコレだ!

 株式会社アーバネットコーポレーションは、2009年6月から8月4日まで「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)2009」として、「(仮)アジールコート武蔵小杉」のエントランスホールに展示する立体アート作品を、全国の美術を学ぶ学生から募集いたしました。9回目となる今年は、募集期間が例年より1か月少ないながらも、36点の高レベルな作品が集まり、8月5日に一次審査会を開催。1点1点厳正なる審査のもと、最終審査会にすすむ入賞3作品、ならびに入選6作品が決定いたしましたのでご紹介いたします。

応募について

36作品(2008年:54作品)
2点応募・・・1名
応募者数:35名(2008年:49名)
23.2歳(男性:22.5歳、女性:22.7歳)  最年少19歳・最年長36歳
■ 男女比(総数=35名)

■ 学年
■ 都道府県別(住所)
■ 学校別

学部専攻: 彫刻・造形が14名。工芸(漆、金属等)3名、教育学部(美術系)4名、その他、映像、デザインなど
過去のAACに応募されたことのある方

一次審査について

募集 マンションの共用空間に展示するための立体アート作品
設置場所 「(仮)アジールコート武蔵小杉」マンションのエントランスホール(神奈川県川崎市)
分野 立体アート(彫刻、レリーフ等も含む立体作品)
材質 石・鉄・木・FRP等、長期展示に耐えうる素材
作品サイズ 展示スペースに収まる寸法で、重量約100kg以下
展示スペース 幅2000×奥行800×台座を引いた高さ2000/台座の高さ500 (単位:mm)
台座サイズ 幅1000×奥行500×高さ500 (単位:mm)
補助金 制作補助金として20万円を支給。(搬入出料別途相談)10月の最終審査会にむけて、実制作。
・氏名、性別、学校、受賞歴などのプロフィールについて、完全に伏せた上での審査
・判断材料はA4サイズのプレゼンシート2枚
   プレゼンシート1:スケッチ・マケット写真など
   プレゼンシート2:タイトル、素材、サイズ、重量、コンセプト、イメージに近い既存作品や過去の自分の作品写真
・各選考書類、作品サイズ、重量などの、規定外箇所を明記
小池 一子 (クリエイティブディレクター/審査員長)
堀 元彰  (東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーター)
白石 正美 (白石コンテンポラリーアート代表)
北澤 ひろみ(キュレーター)
服部 信治 (主催会社 代表取締役社長)

≪入賞≫ ※応募順

立つこと

本郷 芳哉さん
東京藝術大学 美術学部 彫刻科 研究生
素材:ステンレス鋼
・入賞者コメント
この度、実制作に入らせていただいたことは大変光栄であり、嬉しく思っています。ありがとうございます。
自分の作品を人々の生活空間の中に設置するということを考え、大きな期待と緊張をもって制作に臨んでいます。
今回の作品は人が生きることと、その根底にあるものを表現したいと思い、提案させて頂きました。また、美術作品としてマンションに住まう人が心癒され、愛されるような作品を制作できるよう誠心誠意努めたいと思います。
・コンセプト
人が生きるということはその時代や環境の上に立つということである。
そして、時代や環境はまるで水面のように変化し、一カ所に留まることのないものである。
私たちの立つ「今」というものは、積み重なり練り込まれた歴史や思いの上澄みのようなものである。
そして、「今」もすでに過ぎ去り、次の「今」を創る礎となっていく。

武蔵小杉という歴史ある場所に新しくマンションが建つにあたり、人が「今」に生きるということについて考ました。
そこには確かに積み重ねられてきた歴史があり、新しいものが加えられていく。それは必然の変化であると同時に、新しい文化や歴史の創造でもあると考えます。
今回建てられるマンションに住む人々がそこにあった歴史と繋がり、新たに創られる文化や歴史の担い手となることで、そこに住むことに誇りをもつことができるようになってほしいと考え、今回の作品を提案いたしました。

私は彫刻という媒体を通して、鑑賞者に生きることについて考えるきっかけとなるような作品を制作すると同時に、美術作品として「美しい」と思えるものを作り出して行きたいと考えています。
マンションのエントランスへの作品設置を考えるにあたりそこに住む人が毎日目にすることになる作品は、そこにあるだけで無条件に美しく、心癒す作品でなくてはならないと考えています。難しいことではありますが、そうなるよう努力したいと思います。

うずくまる

片井 彩霞 さん
九州産業大学大学院 芸術学部 芸術専攻科
素材:テラコッタ、鉄
・入賞者コメント
この度、入賞という形で作品を制作する機会を与えていただいたことをとても嬉しく思います。
美術館やギャラリーではなく、マンションのエントランスというパブリック空間に展示する作品をつくることは、私の造形作家としての第一歩であり、とてもいい経験になると思います。
このコンペティションでは、設置空間が限定されていることで鑑賞者や場景が定まり、より「人のため」の作品が創れるのではないかと私は考えています。
住人と作品が共に時を経れるようなアートをつくりたいと思います。よろしくお願いいたします。。
・コンセプト
胎児が母親のお腹の中で丸くうずくまっている姿をイメージしてプランニングした作品です。
マンションに設置する作品ということで、住む人をあたたかく「おかえり」と迎え入れてくれる雰囲気を作り出すことを目的としています。マンションは、もちろん「いってきます」と出て行く場所でもあるのですが、その場合、外に目線が向いているので、マンション自体は「迎え入れてくれる場所」であると私は考えています。
「家」はとてもプライベートで閉鎖的で、守られ、安心する空間です。そして、それは人が産まれる前にいた母親のお腹の中も同じです。
マンション全体が、母に守られているような、安心していられる空間になるように願いを込めて、制作したいと思っています。
彫刻本体は、テラコッタで造り、柔らかく優しい質感、 信楽粘土を使うことで、うすピンクの柔らかい色の作品にします。
また、丸い粘土の集合体で形作ることで、細胞のような生命感を表現します。

天上の虹

八木 貴史さん
武蔵野美術大学大学院 造形研究科 美術専攻彫刻コース
素材:色鉛筆、樹脂
・入賞者コメント
この度AAC2009の入賞を頂き、とても嬉しいです。
作品と人とのかかわり合い方は、色々なかたちがありますが、ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITIONのような企画に参加できて、身の引き締まる思いです。
公共の場での作品展示という、責任や制約のある場ですが、  それも可能性の一つですし、私は、それらの制約は喜んで受け入れます。
実際の作品と展示空間で逢える瞬間を、つくり手である私自身も、とても楽しみにしています。
制作する実感の喜びや、発見の楽しさを感じると共に、作品と私が、お互いを高め合いながら、最終審査に臨みたいと思います。
・コンセプト
私が提案する作品の素材は色鉛筆です。
色鉛筆はインセンスシダーというヒノキ科のきめの細かい木でつくられています。芯はタルクや顔料などでつくられています。しかも、削ると色の芯が出てきます。当たり前です。
しかし、そんな当たり前のことをじっと見つめる。そして、様々な工夫を施して作品にしています。当たり前のことも、当たり前ではないことも、たくさんあります。それは、美術という世界だけではなく、私たちのまわりにも常にあります。何に目を向けるか、何に気づくか、それは人それぞれです。何かに気づけたその瞬間に、その人の世界は様々な色に変化するでしょう。
この世界は目には見えないことで満ちています。
私は、目には見えないことの一片をこの作品で表現します。
発見や色に満ちた世界を願い、住んでいる方々や、訪れた方々がこの作品を見た時に、
そんな瞬間を感じて頂けるよう、私は作品をつくります。
≪入選≫ ※応募順

立花彫像

時のさなぎ

飯嶋 茂太さん
多摩美術大学 美術学部 彫刻学科 3年
松本 商利さん
東北芸術工科大学 芸術学部 彫刻科 4年
・審査員コメント
空間がモノクロームで無機的なので、木などの有機的なものを使ったこの作品を選びました。
心の中にあるものが形になったのだろうフォルムは、空間とも調和しますね。
・審査員コメント
テクスチャーがきれいに出たら、何気なくて良い感じだと思いました。
色と形がシンプルなのに強く、また、真ん中の膨らみは良く計算されています。
それに表面が色々なニュアンスを持っていて、それが設置される場所に合うと思いました。

「存在」

「Tidal」

吉田 朋世さん
大阪芸術大学 芸術学部 彫刻(塑像) 4年
見藤 素子さん
大分大学 教育福祉科学部 情報社会文化課程総合表現コース美術 3年
・審査員コメント
基本的な形を選んでいることを評価したい作品です。
クロス(十字)に意味があるとは思いませんが、この場所に積み木のようなどっかりしたものがあるというのも良いかなと思い選びました。
・審査員コメント
見る人にそれぞれのイメージを与えられる、とても変わった作品で、実作を見てみたいと思いました。
固めているということと、糸の性質がどのように見えるのかが楽しみな作品です。

「流転」

「It's all special.」

小森谷 薫さん
女子美術大学大学院 美術研究科 美術専攻
松枝 悠希さん
東京藝術大学 美術学部 デザイン専攻
・審査員コメント
この作品はテクスチャーが豊かな表情を見せるといいなと思って選びました。
一見すると化石のようで、新しい現代の建物とこの作品との間に時間の流れのようなものを感じ、ふと我に返らせるような力を秘めています。
自然を思わせる形なので、日常生活に忙しい人が、これはなんだろう?と、ふと立ち止まらせるような存在感がありますね。
・審査員コメント
若い方が沢山住むこの場所にマッチするかと思い、選びました。若い方には親しまれそうですね。
ありがちな作風かもしれませんが、ユーモアもあり、シャープな作品です。
映画の「マトリックス」のように、時間が止まった感じを表していて楽しい作品ですね。

主催会社挨拶

■ 服部信治 / 株式会社アーバネットコーポレーション 代表取締役社長
弊社は、2001年度から学生限定の彫刻・立体アートコンペ『アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)』を毎年開催し、今年で9回目になります。
このAACは、自社ブランドのマンションに常設展示する彫刻・立体アートを募集するもので、今年は応募期間が短かいながらも、全国から36作品が集まりました。。ご応募いただいた学生の皆様、誠にありがとうございました。
また、ご協力いただきました学校関係者の皆様、マスコミの皆様、そして審査員の皆様にも心から感謝いたします。ありがとうございました。
今年の応募作品は、プレゼンシートがしっかりと作り込まれているものが多く、クオリティーの高い作品がそろい、審査員を悩ませました。討議を重ねた結果、最終審査会にすすむ3作品を決定いたしましたが、この3作品以外にも、評価の高い作品が多くあったことをご報告いたします。
最終審査会にすすむ3名の方には、ご自身の持っている力を存分に発揮していただき、アジールコート武蔵小杉(仮)のエントランスに、常設展示されることを目標に制作していただきたいと存じます。このAACへのチャレンジが世界に羽ばたく第一歩となることをお祈りしています。